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【DC-DCコンバーター】鉄道用規格について

【DC-DCコンバーター】鉄道用規格について

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鉄道用電源とは?

 

鉄道車両及び電車線路に使用される様々な電子機器に、適切な電力を供給するための電源装置です。

これらの電源装置は鉄道車両及び電車線路が向き合う過酷な環境下においても安全且つ安定した動作を提供しなくてはならない為、鉄道規格 EN50155認証の厳しい試験に合格する必要があります。

 

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DC/DCコンバーターの鉄道規格について 基本知識①

現在の電車、高速鉄道などの鉄道交通機関は、乗客により安全で快適な運行を提供する為、様々な電子機器設備を搭載しています。
 
▪︎安全運行をモニタリングするセンサーシステム、エアコン、照明、ドアの開閉、通信システム、インフォテイメントシステム等
 
これらの鉄道車両用電子機器はいずれも車両に搭載される蓄電池(バッテリー)から電源を取ります。

 

DC/DCコンバーターの鉄道規格について 基本知識②

近年の電車や高速鉄道では、多くの場合 軽量化・省スペース化を目的とし72VDCまたは110VDCの車両用蓄電池を使用しています。
 
鉄道車両用電子機器の多くは5、 12、 15、 24VDCの入力電圧で動作するため、鉄道車両用電子機器と
蓄電池の間には、72Vまたは110Vの直流電圧を5V、 12V、 15V、 24Vの直流電圧に変換し、電子システムに電力を供給する、鉄道用DC-DCコンバータが必要となります。

 

 

 

DC/DCコンバーターの鉄道規格について 基本知識③

しかし、蓄電池は必ずしも電子機器の近くに設置されているわけではありません。列車の前方または後方に取り付けられている場合、電源を電子機器まで伝送するケーブルは長くなります。
 
伝送の過程では、サージ電圧、電磁妨害が極めて生じやすくなります。また、スターターモーター、ポンプ、圧縮機、ドライバ、リレー、スイッチ装置、交流発電機、発電機、変圧器、高出力負荷設備なども蓄電池で駆動するため、鉄道車両の電源環境は不安定となります。 その結果、周波数変動や電源ノイズ、アーキング、インパルス電圧等が発生するリスクも出てきます。
 
このような過酷な環境から電子機器を保護し、間断ない給電を可能にするため、蓄電池と鉄道車両用電子機器の間に高い絶縁性・信頼性・安定性を備えたDC/DCコンバーターが必要となります。

 

DC/DCコンバーターの鉄道規格について 基本知識④

蓄電池と鉄道車両用電子機器の間に設置される鉄道用DC/DCコンバータは、EU鉄道規格「EN50155:2017(IEC60571)」に準拠している必要があります。この規格では、以下の過酷な環境下での信頼性試験が規定されています。

 

 

 

 

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【鉄道規格 EN50155認証】

 

 

  • 入力電圧範囲試験
  • I/O絶縁耐圧試験
  • 絶縁電圧試験
  • 電磁両立性(EMC)試験
  • 動作温度試験
  • 冷却試験
  • 振動・衝撃試験

 

【EN45545-2】

 

 

  •  火災保護試験

 

鉄道規格EN50155 -入力電圧試験-

鉄道車両における不安定な電源環境においても安定した動作を保証する為以下のような試験が規定されています。

 

試験項目 EN501552017 Reference Clause Standard Test Level

電源変動

(Supply Variations)

EN50155 13.4.1 / EN50155 5.1.1.1 Test Voltage / Time: 0.7VN / 10min.

Test Voltage / Time: VN / 10min.

Test Voltage / Time: 1.25VN / 10min.

Test Voltage / Time: 0.6VN / 0.1sec.

Test Voltage / Time: 1.4VN / 0.1sec.

Test Voltage / Time: 1.4VN / 1sec.

Test Number: repeated 10times

電源瞬断

(Supply Interruptions)

EN50155 13.4.3 / EN50155 5.1.1.2 Class S1: 100%VN / 0mS

Class S2: 100%VN / 10mS

Test Number: repeated 10times

電源切替

(Supply Change Over)

EN50155 13.4.3 / EN50155 5.1.1.3 Class C1: Dip40%VN /100mS

Class C2: Interruptions 100%VN / 30mS

Test Number: repeated 10times

電源過電圧

(Supply Over Voltages)

EN50155 13.4.3 Voltage Level / Duration: 1.4VN / 0.1sec.

Voltage Level / Duration: 1.4VN / 1sec.

Test Number: repeated 10times

 

 

鉄道規格EN50155 –絶縁耐圧試験-

鉄道用DC/DCコンバータの絶縁耐圧試験は、コンバータ内部の沿面距離や空間距離が電気的絶縁要件を満たしていることを検証するものです。

 

試験項目 EN501552017 Reference Clause Standard Test Level

絶縁耐圧試験

(Isolation / Withstand Voltage Test)

EN50155 13.4.9 Test Voltage/Time:1500VAC/60sec.

 

 

 

鉄道規格EN50155 –電磁両立性(EMC)試験-

電磁両立性(EMC)は EMI(電磁波妨害)+EMC(電磁感受性)からなるノイズ試験です。鉄道規格EN50155においても重要な試験項目です。弊社鉄道用DC-DCコンバータは、EUのEN 50121-3-2規格 「鉄道用アプリケーション-電磁両立性パート3-2車両装置」を参照しています。

 

試験項目 EN501552017 Reference Clause Standard Test Level
EMI Conduced Emission EN50155 13.4.8 / EN50121-3-2, EN55016-2-1 Frequency / Level: 0.15~0.5MHz / 99dBuV

Frequency / Level: 0.5~5MHz / 93dBuV

Frequency / Level: 5~30MHz / 93dBuV

Radiated Emission EN50155 13.4.8 / EN50121-3-2, EN55016-2-1 Frequency / Level: 30~230MHz / 40dB(uV/m)

Frequency / Level: 230~1000MHz / 47dB(uV/m)

 

 

試験項目 EN501552017 Reference Clause Standard Test Level
EMS ESD Immunity Test EN50155 13.4.8 / EN50121-3-2, EN61000-4-2 Air Discharge:±8KVDC

Contact Discharge:±6KVDC

Indirect Discharge HCP&VCP:±6KVDC

Radio-Frequency,

Electromagnetic

Field Immunity Test

EN50155 13.4.8 / EN50121-3-2, EN61000-4-3 Frequency / Field: 80~1000MHz/20V/m

Frequency / Field: 1400~2000MHz/10V/m

Frequency / Field: 2000~2700MHz/5V/m

Frequency / Field: 5100~6000MHz/3V/m

Electrical Fast Transient/Burst Immunity Test EN50155 13.4.8 / EN50121-3-2, EN61000-4-4 Line, Neutral, Line+Neutral: ±2KVDC
Surge Immunity Test EN50155 13.4.8 / EN50121-3-2, EN61000-4-5 Line to Line: ±1KVDC
Radio-Frequency,

Conducted Disturbances

Immunity Test

EN50155 13.4.8 / EN50121-3-2, EN61000-4-6 Frequency: 0.15 to 80MHz

Field: 10 Vrms

 

 

 

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鉄道規格EN50155 –動作温度範囲試験

鉄道アプリケーションの動作温度試験は、主に4つのクラスに分類されます(下表)。鉄道用DC/DCコンバータを設計する際には、システム起動時に温度過上昇が発生しないかどうかを考慮する必要があります(下表の規定を参照)。

 

 

Table1- Operating Temperature Rating

Class Equipment Operating Temperature Range ()
OT1  -25℃ to +55℃
OT2 -40℃ to +55℃
OT3 -25℃ to +70℃
OT4 -40℃ to +70℃
OT5 -25℃ to +85℃
OT6 -40℃ to +85℃

 

 

Table2- Switch-On Status of the Extended Operating Temperature Rating

Class Equipment Operating Temperature Range ()
ST0 Non Switch-On Extended Operating Temperature
ST1 OTx +15℃
ST2 OTx +15℃

 

 

 

鉄道規格EN50155 -振動・強化型振動試験-

EN50155規格では鉄道車両に設置する鉄道用DC-DCコンバータは必ずEN61373の振動・衝撃試験要件を満たさなければならないと規定しています。従って、一貫したパフォーマンスを確保するため、製造工程は厳格な管理を行う必要があります。

 

試験項目 EN501552017 Reference Clause Standard Test Level
Functional Random Vibration Test EN50155 13.4.11 / EN61373 (EN60068-2-6) Category 1, Class B, Body Mounted

Frequency Range: 5Hz~250Hz

Grms Value: 0.2 Grms (2.0/s2) for Each Axis

Dwell Time: 10min/axis in operation

Increased

Random  Vibration Test

EN50155 13.4.11 / EN61373 (EN60068-2-6) Category 1, Class B, Body Mounted

Frequency Range: 5Hz~250Hz

Grms Value: 1.2 Grms (12m/s2) for Each Axis

Dwell Time: 5HRs/axis in operation

Shock Test EN50155 13.4.11 / EN61373 (EN60068-2-27) Category 1, Class A&B, Body Mounted

Wave Form: Half-Sine

Acceleration Peak: 5.102Grms (50m/s2) for Each Axis

Dwell Time: 30mS in Storage

Shock/Bump Times: 3 Times for Each Direction

 

 

 

鉄道規格EN45545-2 –火災保護試験-

鉄道/交通/運輸産業では、電源モジュール材料が必ず火災保護試験EN45545-2の関連要件に合致することを要求しています。またEN45545-2規格では、各種の被測定試験材料は、R1-R26という異なる種別によりその「防火性能指標パラメータと試験条件」を区分・定義されています。

 

 

【試験内容】

  1. 1.防火安全物体の機能性記述
  2. 2.均質材料のレベルと要求されるレベル
  3. 3.内部構造材料

 

防火性能の評価には次のいくつかの指標パラメータが存在します。

 

  1. 1.燃焼
  2. 2.煙霧
  3. 3.放熱
  4. 4.毒

 

被測定試験材料ごとの最終「防火性能指標パラメータ」試験データの結果によって、被測定試験材料の火災保護試験レベルを評価します。(HL Level)

 

 

Table1- Hazard Level Classification

Operation Category Design Category
N: Standard Vehicles A: Vehicles forming part of an automatic train having no emergency trained staff on board D: Double decked vehicles S: Sleeping and couchette vehicles
1 HL1 HL1 HL1 HL2
2 HL2 HL2 HL2 HL2
3 HL2 HL2 HL2 HL3
4 HL3 HL3 HL3 HL3

 

鉄道車載装置は車両の運行環境と種別ごとの車両に応じて、また下記のTable 1-Hazard Level Classification表を参照して採用する材料の火災保護試験レベルを区分します。

 

 

Operation Category1

安全な場所にいつでもすぐに到達でき、鉄道車両を最小限の遅延で停止できるインフラストラクチャで運用するための車両

 

 

Operation Category2

地下セクション、トンネル、および/または高架構造物で運用するための車両。側面からの避難が可能で、乗客に短時間で到達可能な、安全な場所を提供するステーションまたはレスキューステーションがある。

 

 

Operation Category3

地下セクション、トンネル、および/または高架構造物で運用するための車両。側面からの避難が可能で、乗客に長時間で到達可能な、安全な場所を提供するステーションまたはレスキューステーションがある。

 

 

Operation Category4

地下セクション、トンネル、および/または高架構造物で操作するための車両。側面からの避難ができず、乗客に短時間で到達可能な、安全な場所を提供するステーションまたはレスキューステーションがある。

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技術情報監修

Whittaker Cheng 氏
Field Application Engineer/MINMAX TECHNOOLOGY
Minmax社は台南(台湾)に本社を置くDC-DC ConverterとAC-DCパワーサプライメーカー。研究開発、生産から品質管理まで、すべてにおいて最先端のテクノロジーと厳格なチェックによる管理を行っておりユーザーから厚い信頼を得ています。欧州、北米、アジア地域において多数の実績がある業界の先進的企業です。
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この記事を書いた人

高田 悠以(たかだ ひろい)
株式会社エスエムアイ 代表取締役
愛知県生まれ。名古屋外国語大学卒業後、シアトル留学を経て株式会社エスエムアイに入社。
医療用絶縁トランス、スイッチング電源、ACアダプター、DC-DCコンバーター等 電源製品の開発営業として勤務。日本のモノづくりを愛し、「お客様のお客様を満足させる事が真の顧客満足」をモットーに営業活動に従事。2018年に株式会社エスエムアイの代表取締役に就任。
本コラムに掲載している情報は、株式会社エスエムアイの調査/収集した情報を共有する事を目的としております。掲載にあたり内容に間違いがないかできる限り注意を払いましたが、内容についていかなる表明・保証を行うものではありません。実際に機器設計や電源選定を行う際は、当資料の情報に全面的に依拠せず、最新の法令・規格・技術情報をご確認下さいますようお願い申し上げます。
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