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高電圧対応:鉄道車両用HVACシステムのための革新的な3相インバーター

高電圧対応:鉄道車両用HVACシステムのための革新的な3相インバーター

このコラムでわかること
 

  • 鉄道用車両システムの現状と課題
  • 鉄道用HVACシステムの概要
  • 高電圧3相インバーターの技術的利点
  • インバーター導入によるメリット
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    (この記事は 約5分 位で読めます。)
     

     
     

    鉄道用車両システムの現状と課題

    現在の車両用鉄道システムは、一般的に、保護されたバッテリー電圧(24V、36V、72V、110Vなど)や、高出力の補助コンバーターからのAC電圧で駆動されています。しかし、旧型の列車は現代の標準化されたシステムや規格に基づいて設計されておらず、電源供給に関して独自の要件を持つこともあるようです。旧型列車の改修を試みる際、当時の電気システムと現代技術の融合は、電源設計において大きな挑戦になると言えるでしょう。
     
    今回は、弊社の海外協力会社であるPremium社が直面した、鉄道用HVACシステムの電源に関する課題と、それをどのように解決したかの事例をご紹介させていただきます。
     
     

    鉄道用HVACシステムの概要

    HVACとは「Heating, Ventilation, and Air Conditioning」の略で、「暖房・換気・および空調」という意味です。鉄道用HVACシステムは、暖房、換気、空調(HVAC)を統合し、温度調節、空気循環、フィルタリングを提供する高度な環境制御システムです。
     
     

     
     
    鉄道用HVACシステムは、外部環境が厳しく変化したり、車内が密閉されていても、乗客と乗務員の快適さと安全を保つように設計されています。振動、温度の変動、高湿度など、鉄道の運行が直面する厳しい条件下でも持続的に性能を発揮するよう耐久性と信頼性に重点を置いて設計されています。また、EN50155:2017などの国際基準に準拠することも求められます。
     
     

    お客様の課題と要望

    今回の事例では、お客様が旧型列車を改修する際、特殊な500Vdc +/-2%の電圧ラインでHVACシステム(ファンやコンプレッサー)を動かす必要がありました。500Vdc +/-2%という電圧は、通常の鉄道用HVACシステムで使われるものよりも高く特殊なものです。この高電圧でHVACシステムを安全に稼働させるためには、特別な絶縁、保護回路、電源管理技術の設計が必要になります。
     
    お客様は、利用状況に合わせて最適な運転モードを選べるようにすることで、エネルギーの消費を減らし、効率的に運転したいとの要望をお持ちでした。具体的には、インバーターとモーターの間に設置されるコンタクターとリレーを使い、「Y結線(スター結線)」と「デルタ結線」の間で運転モードを切り替えられるようにする計画がありました。
     
     

     
     
    「Y結線(スター結線)」は起動時の電流を抑え、低トルクでの起動を可能にします。一方、「デルタ結線」はより高いトルクを生成できます。この二つの結線方式を使い分けることで、HVACシステムが異なる運転モード(低速トルクモードと高トルクモード)に柔軟に対応できるようになります。例えば、低負荷時はY結線(スター結線)を選び、負荷が高くなったらデルタ結線へ切り替えます。この方法により、スタートアップ時の電流負担を減らしてモーターの寿命を延ばすこともできます。
     
     

    解決策の技術的詳細

    Premium社はこの特殊な課題に対処するため、特別設計された電源ソリューションを開発しました。これはEN50155:2017の安全規格を満たし、長期にわたり使用できる3.2kVAの鉄道専用インバーターです。このインバーターは500Vdcの入力電圧に適応し、200Vacから460Vacまでの出力電圧と、5Hzから60Hzまでの出力周波数を自在に調整できます。また、リモートでの制御、アラーム機能、ソフトスタート、RS-232によるプログラミングもサポートしています。
     
     
    お客様の、コンタクターとリレーを使って2つの速度で運転したいという要望に対し、我々は従来の物理的な電気回路の切り替えではなく、インバーターを用いてモーターの速度を直接制御する方法を提案しました。コンタクターとリレーは使用すると機械的に摩耗し、メンテナンスコストの増加や予期せぬ停止のリスクが伴うためです。さらに、インバーター制御はエネルギー効率が高いため、この選択をしました。
     
     

     
     
    カスタム設計のインバーターは、出力電圧と周波数を調整して、モーターの速度とトルクを正確に制御できます。プログラミングにより、運転条件に合わせてモーター速度を設定し、必要に応じてこれを柔軟に変更できます。
     
    インバーターには、モーターの運転速度を指示するための入力端子を設けました。この端子に送られる信号(オンかオフ)によって、インバーターは高速または低速運転を選択し、それに応じてモーターを制御します。このシステムにより、ユーザーは必要に応じてモーターの速度を柔軟に調整できます。
     
     

    お客様の声

    お客様からはカスタムインバーター導入により多くの利点が得られたと嬉しい報告を頂きました。
    具体的ないくつかのメリットについて以下の通り共有させて頂きます。:
     

  • エネルギー効率の向上により、運用コストが削減された。
  • インバーターによる直接制御で、HVACの冷暖房性能が向上し、特定の条件下でも運転モードを柔軟に変更でき、温度調節がより正確に行えるようになった。
  • インバーター制御システムによって、部品の摩耗が減り、メンテナンス性が向上した
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    3相 DC/AC Inverters ODX-3000の詳細情報はコチラ
     
     
    いかがでしたでしょうか?このように、豊富な経験と高度な技術力を活かして、難しい課題にも対応可能な多様な解決策を提供できます。鉄道用HVACシステムに関するお悩みがあれば、ぜひお気軽にご相談ください。

    この記事を書いた人

    高田 悠以(たかだ ひろい)
    株式会社エスエムアイ 代表取締役
    愛知県生まれ。名古屋外国語大学卒業後、シアトル留学を経て株式会社エスエムアイに入社。
    医療用絶縁トランス、スイッチング電源、ACアダプター、DC-DCコンバーター等 電源製品の開発営業として勤務。日本のモノづくりを愛し、「お客様のお客様を満足させる事が真の顧客満足」をモットーに営業活動に従事。2018年に株式会社エスエムアイの代表取締役に就任。
    本コラムに掲載している情報は、株式会社エスエムアイの調査/収集した情報を共有する事を目的としております。掲載にあたり内容に間違いがないかできる限り注意を払いましたが、内容についていかなる表明・保証を行うものではありません。実際に機器設計や電源選定を行う際は、当資料の情報に全面的に依拠せず、最新の法令・規格・技術情報をご確認下さいますようお願い申し上げます。
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